●9月5日付で、日本産科婦人科内視鏡学会のホームページに「患者様へ」と題した文書が掲載されました。また会員医師向けの「会告」(取り決め)では電動モルセレータ使用に関する適応基準が示され、認定研修施設および技術認定医在籍施設を対象に行った「緊急アンケート結果」、電動モルセレーターを取り扱っている企業2社の状況も掲載されました。
それによると、日本ではモルセレーターを用いる腹腔鏡下子宮筋腫核出術において、子宮筋腫の術後に初めて悪性と判明する頻度は米国FDA の発表より極めて低い。その理由として、MRI 検査、細胞診、血清LDH 測定などの術前検査により悪性疾患の除外診断が的確に行われているためと考える。しかし術後に初めて悪性と判明する症例があることから、開腹、腹腔鏡下を問わず100%確実な術前診断は不可能であり、モルセレータの使用が万が一予後を悪くするとすれば看過することができない。今後も術前検査で悪性疾患の除外に努めると共に、被実施者へインフォームドコンセントを徹底し、被実施者に十分な情報提供の実施と、被実施者自身の自己決定に基づき使用する事を勧告する、とのことです。
つまり、今後も腹腔鏡による子宮筋腫の全摘、核出手術は行うが、術前検査で悪性疾患の除外に努め、患者へのインフォームドコンセントの徹底と、患者への十分な情報提供と、患者自身の自己決定に基づき使用すること、ということのようです。
●モルセレーターの供給状況ですが、9月8日現在、ドイツのカールストルツ製のモルセレーターは、日本国向けに優先的に出荷されており、現在では通常の納期対応が可能となって来ているとのことです。
一方、米国ジョンソン・エンド・ジョンソンは、9月5日、モルセレーターデバイスの市場から撤退を発表したとのことです。今後は、米国製のモルセレーターの在庫がなくなり次第、ドイツ製に移っていくのではないかと考えられます。